#3月10日・11日の2日間、中央大学の理工学部キャンパスで行われたロボットグランプリに行ってきました。参加者の皆さん、スタッフの皆さん、お疲れさまでした。自分もビデオ撮影対応のため椅子に座らず立ち通したため、帰宅後にどっと疲れが‥それでも大いに出向いた価値のある大会でした。大会の雰囲気もスタッフと参加者が互いに支えあっている感じで良かったです。
見学の目的はロボットランサーのコース構成/構造の確認と、ランサーロボットの構成、槍機構、槍突き手法の分析。行き帰りの新幹線はえきねっとで予約、宿は今回もちず丸から"周辺の宿泊予約"を介してホテルJリンクス後楽園を予約。(宿泊費は \6000、フロント周りの人件費を徹底的に削っている感じだが、立地の割に安くて部屋も良かった)。色々とネットワーク経由でこなせてしまう便利な時代になったが、現場で現物に触れ現実を見極めることをネットで代替することはできない。情報量が違う。だからこそ自費を投じてでも出向いて行く。
出発当日に最終スケジュールを確認すべくロボットグランプリのサイトを見ようとしたが、サーバが落ちているのか接続できなかった。未だ復旧していない‥何が起きているのだろう。
今年から新しくなったコース材料は TOLIのTMフロア。こちらのショップでは \7245/mとのこと。材料が既製品となり、コースレイアウトが固定でかつ (ショートカット走行ならば)部屋に置ける面積に収まり”本番と同じコースで練習”ができるようになったことで、ロボットランサー参加を目指す意識が生まれ、今回見学することを決めた。会場で実物を見てみると、明るい灰色ではあるが表面の感じはマイコンカーのコースに近く、マイコンカーと同じシリコンシートを使用しているロボットも多く見られた。TMフロア自体に十分な重量があり、(紆余曲折がありながらも)最終的には”板の上に敷くだけ”で競技ができたことから、自宅でもフローリングの上に敷設するだけでランサーロボットの練習やマイコンカーの動作確認に使えそうな感じ、6月辺りに準備してみよう。
ランサーが突く標的は、来年から自動的に得点をカウントするシステムに対応したモノになるとのこと。標的のヒット検出は槍先に導電性を持たせ(導電性ゴムキャップ?)、電源とGNDのパターンが細かく配線され露出している標的基板を突くことで実現するようだ。この方法だと標的を正面から正確に叩かないと点が出ないはずで、今回の見学でも若干見られたオマケ得点がなくなる分も含めて全体の得点が下がるのではないだろうか。この標的システムが幾らになるかはまだ分からないが、1台確保してみたい。
続いてハードウェア面。レギュレーションとしては最低地上高、使用バッテリーの制限が無いため、コース素材の変更と合わせて加減速性能/コーナーリング性能の高いロボットを構成できる。理想はランサー専用の軽量低重心ロボットで、リチウムポリマー電池と高性能モータを搭載か。コースが既知であるためハードウェアの性能差が得点差につながりやすいはずで、今回の優勝ロボットは直線加速/最高速で他を圧倒して決勝で3000点に迫る成績を残している。
センサアーム/ステアリング周りでは、マイコンカーと比較すると
- 左右非対称で、中央より右側を長くしたセンサ基板が多い
- 相対的にセンターピボット式が少なく、アッカーマン式が多い
- センサアームが短い(長くてもホイールベース同等まで)
- センサアームとステアリングを独立に駆動しているロボットが多い
という特徴があった。これらを自身の設計に反映すべく、考察・仮説ベースで方針を考える。
1については、平行標的(走行ラインに平行) と垂直標的のうち、槍で叩くタイミングが重要な平行標的 (垂直標的は当てるまで槍を正面に構えるだけで良い) にフォーカスし、右側にある平行標的前のマーカを確実に読めるようにセンサ基板右側の長さを必要十分に確保しているようだ。確実性を確保しつつセンサ基板を軽くするための工夫が必要、と判断。
2については、常連・田村さんを含めて多くの"こだわりの声"を伺った。タイヤのキャンバ角、キャスター角に対するこだわりの声もあり、この辺の実現性でアッカーマン式を選択する方も多いようだ。以前にいすゞの論文でパラレルリンクとアッカーマンリンクの差異を評価したものを読んだことがあるが、両者の差は端的に書けば”限界領域におけるロバスト性(外乱に対する安定性)”にあり、アッカーマン式が優れるという内容だったと記憶している。パラレルリンクとセンターピボットは同じではないが、ランサーのRの小さいヘアピンの高速走行という局面ではアッカーマン式の方が良いのかもしれない‥では面白くないので、自ら比較すべくアッカーマン式のランサーを作り、センターピボットのマイコンカー改造版と比較してみるというのも一手か。
3については、コースが既定であり先読みのため長くする必要が無いため、センサの追従性を上げるため短くしていると判断。カーブ走行に支障の無いレベルで短く設計したい。
4については"センサは純粋にライン位置を把握するという役割を遂行"という考えや、"円柱標的を確実に倒す(槍とセンサを逆方向に向けて当てる)"という考えを伺うことができた。前者については、電通大さんがセンサアームとステアリングがそれぞれ独立したラジコンサーボになっていて、各々の回転中心が同軸ではない形式を導入していた。電通大・平井さんに考え方を伺ったが、確かにライン位置を把握するという目的を果たす上で同軸である必要はなく、計算で同軸の場合と等価の結果を出すことができる。センサ基板の位置がずれていても、センサが白線位置を捉えていれば車輪の向きを正しく制御できるという点で、自分のPSoCセンサのように基板が重い構成でもその影響をキャンセルできる効果を見込める。コースが既知のランサーで独立駆動が必要か否かの判断は、マイコンカーで独立ではない構成を選ぶ故の泣き加減(?)を踏まえて行いたい。
最後にソフトウェア面。大きく分けて
- ランサーの"制限時間ルール"適合するための正確な速度/加速度制御
- "槍突きプラットフォーム"としての車体を安定させる直線走行制御
- スムースに直線へ復帰できるカーブ走行制御
- 走行状況に応じた槍位置・槍速度の制御
の4点が基本として重要であると考えた。それぞれの目標を書き残してみる。
1については、予選30秒、決勝60秒という制限時間を如何に無駄なく使えるかに係る要素になる。最後に円柱標的を倒した直後に時間終了、という理想を前提に立てた「コースを○周する」という性能目標を確実に実践するためには、再現性のある走行を行えることが欠かせない。これまでのロボットで使用した速度/加速度制御を改良して対応したい。
2については、成績を大きく左右する要素になる。どれだけコースを速く周回しても、ロボットの左右振動が発生して槍先もブレていては、安定した得点は望めない。左右のブレを抑えつつ、如何に高速度・高加速度にできるかという技術的なチャレンジになる。大会で好成績を収めた方々はマイコンカー競技への参加者が多く、直線高速走行のノウハウで全体をリードしている印象がある。負けないように取り組みたい。
3については、ヘアピンカーブ走行が終わり車体が直進に戻ったとき、正確に車体中心がライン中心に乗っていることが理想になる。大会で撮影したビデオを見ると、速いロボットはこの区間の走行が正確で、直線復帰後の車体のズレ・振動が少ない。先ずはライン上の走行で最適な復帰条件を把握し、それがラインの無いショートカット走行でも正確に再現できるようにすべく、これを実践可能なソフト(&ハード)構成を導入したい。
4については正直ハードウェアを含めて「やってみないと分からない」所が多いが、印象をメモ。
- 平行標的は予め標的に槍を近づけておき、"ノック"するように少し動かして的を叩く手法が多い‥動きが少なくタイミングを合わせやすい感じ
- 槍を駆動するサーボ機構を右置きすると"ノック"に都合が良い感じ
- 垂直標的は角度制御で槍が当たるように合わせておけば、車体がブレなく真っ直ぐ走っていれば当てられる感じ
- 槍駆動サーボはRCサーボがベースがほとんど。槍の支持部もサーボホーン+リンク用部品をうまく組み合わせた構成が多い。"俺サーボ"化は必須である感じ‥無改造では用途外のため制御特性が合わず振動しやすい
"俺サーボ"を前提とすると、現段階では俺サーボのマイコンに"位置状態"と"エンコーダパルス"を親基板から与えれば十分であると考える。"位置状態"は
- ニュートラル(ゲート通過可)‥1状態
- 平行標的 ノック前‥1状態
- 平行標的 ノック後‥1~2状態
- 垂直標的 左側‥1状態
- 垂直標的 右側‥1状態
- 円柱標的‥1状態
程度で増えても8状態、3ビット情報で十分か、これにノック前から後に遷移させる段階などで槍を動かす速度を変える補正が必要な場合に備えてエンコーダパルスも要るかも、という考え。お馴染みのPSoCやPIC、AVRで対応できそう。"ノック後"以外は走行位置ベースで状態遷移すれば良く、"ノック後"に遷移するタイミングだけを速度/加速度も考慮して正確に与えれば当たるかな‥槍先位置やタイミングの微調整のし易い構成が必要かな‥といった細かいところは実践の中で検討・構築するのみ。
‥メモはここまで。コンセプトのイメージは出来てきたが、性能目標の設定と詳細検討は別途実施。マイコンカー活動との関連付け・重み付けも必要だが、とりあえずは大会で撮影してきたビデオ動画を編集してまとめておきたい。今回の撮影は(先日手厳しいことを書きながらも) やっぱり軽量・小型の携帯性と高速撮影が良い感じのDMX-HD1A と(某倒産ショップの影響で買い直すことになった) 軽量三脚で対応。カメラの記憶媒体は2GBのSDカード、これを4回交換しての撮影となった。かわいいLEGOロボットから伝説のロボキヨマサ、強豪常連の方々のロボットまで色々撮れているはずなので、ちゃんと整理してじっくりと見てみたい。
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